外観検査装置では画素ごとに良否を比較するため、基準画像と検査画像の位置が合わないと検査精度が大きく低下します。このため、位置合せは非常に重要な処理といえます。一般的に、機械的に位置合わせをしてもほとんどの場合位置ずれが起こりますので、位置合せは必須の処理です。
左の図は基準画像で、右の図は検査画像です。ある程度位置決めをした上で撮影していますが、検査画像は水平方向に5.1画素、上下方向に0.4画素、回転方向に0.3度ずれており、位置合わせをしなければ検査になりません。
当社の外観検査装置StaVaTesterIIでは、位置合せ精度と位置合せに要する時間を考慮して、以下の位置合わせ方法を用意しています。
位置合わせ方法 | 対象画像 | 備考 |
---|---|---|
小変位自動位置合せ | 複雑な模様のある画像 | 標準方法 |
小変位手動位置合せ | 単純な模様または機械部品 | 自動位置合せでは精度が出ないときに使用 |
大変位位置合せ | 大変位機械部品 | 小変位位置合せでは時間がかかるときに使用 |
大変位位置合せ+小変位手動位置合せ | 大変位機械部品 | 大変位位置合せでは精度不足のときに使用 |
ワーク位置合せ | 機械部品 | 上記手法が使えないときに使用 |
小変位の位置合せでは、検査画像を移動させ、位置合わせ用の画素位置における基準画像の濃度値と検査画像の濃度値の差を積算し、積算値が最小となるところを位置合せ画像とします。
自動位置合せでは、画面内の位置合せに適当と判断される画素を自動選択して、選択された位置における濃度値の誤差の積算値が最も小さくなるように位置を合わせます。このため、位置合わせ用の範囲を指定する必要がありません。この方法はStaVaTesterII特有の位置合せ方法です。サブピクセル単位で位置合わせを行うため、目視では位置ずれが殆ど確認できないほど位置を合わせることが可能です。
小変位手動位置合せでは、2つの位置合せ範囲を指定して、この範囲での濃度誤差が小さくなるように位置合せをします。位置合せ範囲は、濃淡差があり、なるべく角のある部位を含むように選択します。
大変位位置合せは、小変位位置合せでは時間がかかる場合に適用します。位置合わせ処理では位相限定相関法を適用します。30度傾いた画像も正確に位置合せが可能です。
大変位位置合せでは位置合せ精度が不足する場合は、位相限定相関法で位置合わせをした後小変位手動位置合せを適用します。
ワーク位置合せでは、ワークの重心と慣性主軸の傾きを基準画像に合わせるように言位置合わせを行います。表に示している4つの方法が適用できない場合に使用します。