外観検査装置を導入すると色々とメリットがありますが、外観検査装置を使えば目視検査が全て自動化できるわけではありません。その理由の1つに、目視検査と外観検査装置を使用した外観検査では欠陥を検出する原理が違うことがあります。また、それ以外にも両者で色々違いがあるため、自動化できるかどうかや自動化するメリットがあるかどうかなどををあらかじめ検討するとよいでしょう。
視覚では、見ている画像を複数の物体としてとらえます。これに対して、自動外観検査装置では、あくまでも画素単位で良否を判定し、不良画像の数の多少で良否を判定します。このため、目視では簡単に思える検査でも自動化が難しい場合があります。
下の写真を例にとると、視覚では左図のように何が撮影されているかを認識します。そこで、この写真に汚れなどがあると汚れがあると認識します。なお、視神経における初期段階の情報の流れは解明されています。網膜のところでは、見ている画像の微分処理が行われ物体の境界線が検出されます。その後、後頭部の第1次視覚野で線の傾きが認識されます。一方で、側頭部を経由して対象物のテクスチャーが分析されます。この後、詳細は解明されていませんが脳の高次野でこれらの情報が統合され、視覚のどの部分に何が写っているか、その物体の模様はどうであるかなどが認識されます。
一方、外観検査装置では、右図のように各画素の色が何色かを認識するだけで、何が写っているかを認識することができません。汚れがある場合は、汚れのあるところで色の違いがあれば異常な色と判断でき、そのような画素の塊があれば良品ではないと判断します。
以上のことから、例えば細い欠陥などは目で見ると形状として認識するため簡単にわかりますが、外観検査では各画素の明暗の違いが小さい場合は欠陥として検出されにくいことがあります。
〇検査対象が3次元形状であっても検査対象を動かして全面検査ができる。
〇傷の検出能力は高い。
〇埃などの、欠陥ではない異常の影響を受けない。自動検査では埃があると異常と判定される。
〇傷の種類を判断できる。
〇検査には熟練を要する。
〇客観的な判断ができない。
〇データとして保存できない。
〇人によって検査基準に違いが出る。
〇集中力が長時間続かないこともあり、同じ人でも状態によって判断基準が異なる。
〇小さなキズを検出できても大きな傷を見落とす場合がある。
〇集中できる時間に限度がある。
〇検査の自動化が可能である。
〇客観的な判断ができる。
〇安定した検査ができる。
〇高速な検査ができる。
〇3次元の検査対象は苦手である。ロボットなどが必要である。
〇細い傷などの検出は苦手である。特に、梨地模様部分の細い傷は検出が難しい。
〇埃などは欠陥と判定する。
〇傷の種類を判断できない。