当社代表取締役が大手造船メーカー在籍時に、目視検査や異音検査などの人間の五感を利用する官能検査の自動化ニーズが高いことと、高精度自動化技術が無く高精度自動化技術が求められていることを知り、高精度自動化技術の研究・開発を始めました。
従来技術の問題点の分析などを通して、3層階層型ニューラルネットワーク(NN)を使用する新しい高精度自動検査技術(境界学習型NN)を開発し特許を取得しました。次に、各種検査にこの技術を適用し、この技術が高精度であることを実証しました。
その後、(株)竹田技研を創業し、境界学習型NNの課題を解消できる新規の検査装置(StaVaTester:スタバテスタ)を開発し、外観検査装置と異音検査装置の製造・販売を行っています。
検査にはニューラルネットワーク(NN)を使用しましたが、NNでは入力層に画像やスペクトルを入力し、中間層を介して出力層に判定結果を出力します。出力値の大きいものが判定結果です。
例えば、出力層の左から順に、文字A、B、C、・・・に対応させておき、入力された画像に対して出力層の値が 1に近い値、0に近い値、・・・、0に近い値 の場合は入力された画像は文字Aと判定されたことを示します。
画像であっても波形であっても、一旦特徴量に変換した後は処理は全く同じなため、画像と波形の両方に適用しました。以下NNの適用例を示します。
【自動車タイヤ締結用ハブナットの供給状態検査装置】
自動車タイヤ締結用ハブナットの、ナットトレイへの供給状態の検査の自動化への適用例です。
【心音計】
境界学習型NNを使用する検査装置により、ラインで検査ができるようになりました。また、検査員が検出することができていなかった欠陥を検出しています。 受動型異音検査装置は、製品が稼働しているときの音や振動を測定して、製品の良否を検査する装置です。
【自動車エンジン】
【自動車用デフギア】
自動車エンジンへの適用が成功したため、同社のデフギアの検査にも適用しました。
【ガスエンジン用燃焼診断ユニット】
ガスエンジンに適用した例です。
【ゴルフクラブヘッド検査装置】
チタン製ゴルフクラブヘッド内の異物残存の有無を検査する装置に適用しました。
割れが検出できればということで検査可能性を評価したところ、割れもネッキングも検出できることが分かり、共同開発を行いました。
部品を加振すると振動が発生しますが、同じ材質で同じ形状であれば振動のスペクトルは類似します。このことを利用して、能動型異音検査装置は部品を加振して部品の振動応答を測定し、その振動の特徴を基に部品の傷の有無を検査します。
【自動車部品のプレス成型品】
StaVaTesterを使用した以下の適用例とコンペの例があります。
【実装基板外観検査装置】
実装基板の検査は、ルールベース方式の外観検査装置で行われています。しかし、メーカーの数日間の実習を受けた人が、数日掛けて検査レシピを作成した後検査されており、大変手間のかかるものです。また、検査精度も十分とは言えません。そこで、StaVaTesterを試して頂きました。
判定結果図の赤丸は、その中心の画素が最大標準化変量を取る部位(最大欠陥部位)であることを示します。赤くなっているところは、欠陥が存在する部位であることを示します。
基板下部中央の白矢印で示すはんだの付着も検出しています。
【小型樹脂部品】
手のひらサイズの樹脂部品の外観検査が可能なことがわかりました。
NNは3層構造であればどのような問題にも適用できるということが数学的に証明されているため、応用可能であれば多層のNNを使用するよりも多くのメリットがあります。そこで、色認識を行う3層階層型のNNを開発しています。この認識技術は、指定した色を正しく認識でき、さらに違う色に対して反応しないことが特長です。
例として、リンゴの熟した色を指定しておいて、その色に相当する色を検出した例を示します。左側が元画像で、右側が同じ色と認識した結果を示す画像です。黒が指定された色と判定した部分です。野菜の図に対して若干反応しています。反応している部分は赤い色です。
【ギヤユニット】
樹脂製のギヤユニットの異音検査が可能であることがわかりました。
【モーター】
小型モーターの異音検査が可能であることがわかりました。
【メロディ音の検査】
メロディ音を発生する発音部品(圧電ブザー)の良否を検査することが可能であることがわかりました。暗騒音がかなり大きな環境でも検査が可能です。
【鋳造品傷検査】
鋳造品の微細傷の検出が可能なことがわかりました。